現行学習指導要領に対応した授業改善のために
 
笠岡市教育委員会 学校教育課
1 まず重視すべきは「習得」

 平成22年に文部科学省が刊行した「新学習指導要領・生きる力 保護者用パンフレット」には,次のような記載があります。
 

「ゆとり」か「詰め込み」かではなく,基礎的・基本的な知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成との両方が必要です

 ○基礎的・基本的な知識・技能の習得の重視
  • 社会の変化や科学技術の進展等に伴い子どもたちに指導することが必要な知識・技能について,しっかりと教えます※1
  • つまずきやすい内容の確実な習得を図るための繰り返し学習※2を行います

 ○思考力・判断力・表現力等の育成の重視
  • 各教科等の指導の中で,観察・実験やレポートの作成など,知識・技能を活用する学習活動を充実します
  • 教科等を横断した課題解決的な学習や探究的な活動を充実します
                 ↓
 それぞれの力をバランスよくのばしていくために,教科等の授業時数を増加し,教育内容を改善します
 
 
 「基礎的・基本的な知識・技能の習得」と「思考力・判断力・表現力等の育成」は共に大切にされるべきものですが,私たちは「基礎的・基本的な知識・技能の習得」あっての「思考力・判断力・表現力等の育成」であるととらえています。それは,現行学習指導要領作成の土台となる「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」の一節に「『自ら学び自ら考える力を育成する』という学校教育にとっての大きな理念は,日々の授業において,教師が子どもたちに教えることを抑制するよう求めるものではなく,教えて考えさせる指導を徹底し,基礎的・基本的な知識・技能の習得を図ることが重要なことは言うまでもない。」とあることからも分かるように,「思考力・判断力・表現力等の育成」には「基礎的・基本的な知識・技能の習得」が欠かせないと考えるからです。

2 「習得」のさせ方を共通理解

 「基礎的・基本的な知識・技能の習得」ということを,校内で共通理解することが重要です。

 
  1.  上記※1に「知識・技能について,しっかりと教えます」とあります。我が国では,教育課程の基準として文部科学省が学習指導要領を定めており,教科書は,この学習指導要領に示された教科・科目等に応じて作成されています。教科書に掲載された知識・技能の指導内容は,習得させるべき「最低基準」となっています。先生が教科書をしっかりと読み込み,教え方を工夫して授業を展開することが,子どもの学力向上を図る上で大変重要な営みとなります。
  2.  上記※2に「確実な習得を図るための繰り返し学習」とあります。効果を上げる繰り返し学習には「コツ」があります。その「コツ」を校内で共有することが必要です。
     繰り返し学習の効果を上げるということは,「授業中に何らかの練習問題を数問取り扱えばよい」「宿題としてドリル冊子やプリントを与えればよい」などという単純な発想で達成できることではありません。すべての子どもの学力保証に成果を上げるためには,「いつ」「どのタイミングで」「何を」「どのように」繰り返し学習させるか,それなりの工夫が求められます。継続・徹底することも大切です。
  3.  知識・技能の習得が十分な子どもとそうでない子どもを同じ授業に向かわせるとき,様々な工夫が求められます。同じように「自力解決」させるような問題を与えれば,当然個に応じた支援が必要となります。その支援が行き届かなければ,習得が不十分な子どもには苦痛な時間を強いることになります。個別に考えさせる時間を与えれば与えるだけ,教師の指導も複雑化するばかりか,授業進行の効率が下がり年間指導計画に則った展開にも支障が出ます。結果的に,一部の子どもの学習権を奪うことにもなりかねません。
     笠岡市教育委員会としては,毎日・毎時間行うべき「全ての子どもが知識・技能を習得できるような指導」の工夫について,校内で議論し,共通理解を図る必要があると考えています。

3 新しい学習指導要領に対応した指導方法がある

  「新学習指導要領・生きる力 学習指導要領改訂の基本的な考え方に関するQ&A」には,次のような記載があります。

 

 子どもたちの興味・関心を重視している現在の指導方法を変更することになりますか。

 子どもたちの興味・関心を重視することに変更はありませんが,それとともに,基礎的・基本的な知識・技能をしっかりと身に付けさせる指導をすることが重要です。子どもたちの自主性を尊重することと,教えることを抑制することは違います。学ぶ意欲を高めながら,教えて考えさせる指導をすることが大切です。

 

 例えば,新しい小学校教科書では,現行学習指導要領で多くの学習内容が増加したことなどを受けて,従来と比べて,平均で25%ページ数が増加しました。旧学習指導要領の頃と「変わらない指導方法」で授業をしていたのでは,無理が生じかねません。そうしたことへの対応を「授業者任せ」にするのではなく,少なくとも各学校で,さらには小学校・中学校の連携の中で共通理解することが,学力向上に結び付く大きな原動力となります。

 「笠岡市『確かな学力』育成プロジェクト」に係る各資料には,上記したような意図を込めています。
 
出典・引用
 
新学習指導要領・生きる力 保護者用パンフレット(平成22年作成)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/pamphlet/1297332.htm

幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)
文部科学省 教科書Q&A
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/010301.htm#01

新学習指導要領・生きる力 学習指導要領改訂の基本的な考え方に関するQ&A
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/qa/kihon.htm